2025/3/15に、正会員による書面による議決により実施された臨時総会において、以下第一号議案が議決されましたので、ご報告いたします。
第1号議案 学習指導、プログラミング教室など一部事業の一般社団法人(非営利型)への事業移管について
(提案事項)
・特定非営利活動法人 せいじゅん たすけあい こども食堂が、これまで実施してきた学習支援、プログラミング教室、イラスト教室などの学びに関する事業につき、同事業に参加するこども達らへの支援体制及び内容を強化及び拡充することを目的に、本年4月に設立される非営利型の「一般社団法人奈良こども支援センターEducare」(理事長に本法人代表理事の乾 真理が就任予定)に、事業を移管する。但し本法人が4月以降も引き続き主催する一部の学習支援、プログラミング教室及びイラスト教室等については、本法人より一般社団法人奈良こども支援センターEducareへ業務委託を行う形とする。
・上記の事業移管に伴い、移管された事業に必要な機材(パソコン、書画カメラ、ipad等)は、一般社団法人奈良こども支援センターEducareに無償譲渡するが、本法人がそれらを使用する場合には、無償で使用できるものとする。
・一般社団法人奈良こども支援センターEducareの設立に必要な経費は、昨年6月以降から本年3月末までの本法人のEducare事業(事業移管を前提に法人内に設置された分離対象事業)が得た収入より支出し、本年3月末時点で当該収入より上記の支出を差し引いた残金は、一般社団法人奈良こども支援センターEducareの運営に必要な経費として譲渡される(本年4月以降は両法人が独立会計となる)。
・一般社団法人奈良こども支援センターEducare設立後も連携して、こども達や青年層の支援に努める。
(背景及び移管の理由)
・当法人は2018年に活動を開始、以後2020年にNPO法人化し、「共食と食育、様々な学びを通じて、こども達の生きる力を育む」基本理念に、様々な活動を行ってきた、以下には本年度1月15日までの実施回数、参加人数を示す。
・開催回数はほぼ毎日であり、参加人数は奈良県最大規模のこども食堂となり、参加家庭や行政より大きな期待が寄せられている。また参加家庭は大和郡山市内が約6割、残り4割が奈良市、天理市など周辺自治体からの参加と、参加範囲についても県内北中部へ広がっている。
・本年度参加家庭約280世帯へのアンケート調査において、「行政や学校、社協へ相談したい、また当法人へ相談に乗ってほしい子育ての困り事はあるか、あるとすれば何か?」という質問に対して、困り事がないと回答されたのは約1/4の家庭であり、3/4の家庭が相談したい困り事があると回答されている。更にその困り事はなにか?との質問(複数回答可)に対して、最も多い困り事は、こどもの発達障がい(37%の家庭)であり、次いで経済的貧困とこどもの進路(いずれも35%)となり、参加家庭の1/3以上において、経済的な貧困に加えて、こどもの成長や進路について課題を抱えていることがわかっている。
・このような状況を踏まえ、昨年6月より、こども達の将来の経済的、社会的及び精神的な自立を目指した学びの場として、「Educare事業」を立上げ、個別学習指導、ジュニアプログラミング検定や国家資格の基本情報技術者養成講座、芸術高校進学を目指したイラスト教室、英検講座、国語読解力講座といった従来のこども食堂で実施してきた学びの領域を超えた将来の自立に向けた実学的、専門的な学びの場を提供、159回開催し、延べ200人が参加(昨年6~12月末まで)するに至り、大きなニーズがあることがわかった。
・一方、Educare事業の運営に当たっては、プログラミングやイラスト作成、あるいは高校入試問題を教えられるレベルの指導力を有する専門家の継続的な参加が必要であり、現在の無給ボランティアをベースとしたNPOでは、人材のつなぎ止め、確保が難しい状況にあり、低額の参加費を徴収、また行政より業務委託を受けながら、運営者全員に給与を支給する新たな組織の必要であるという結論に至った。
(事業分割の目的と便益)
・4月に設立予定の非営利型の一般社団法人奈良こども支援センターEducareの目的は、経済的貧困、社会的孤立、不登校ひきこもり、発達障がいなど生きづらさを抱えた、または種々の事情で自立に向けての教育(キャリア教育、探求学習等)の機会を得ることが困難なこども達や若者らを対象に、日々を安心して穏やかに過ごしたり、他者とのつながりや気の合う仲間と交流できるような居場所を提供することに加えて、将来の自立に向けての学び、キャリア教育及び探求学習の機会を提供することを通じて、こども達や若者の生きる力を育むこととし、その目的を達成するため、次の事業を行うとしている。
⑴ プログラミング・情報処理及びパソコン教室
⑵ イラスト教室
⑶ 英会話・英語語学教室
⑷ 学習支援
⑸ 探求学習
⑹ 食事(軽食)の提供
⑺ ボランティアセミナーや指導者養成講座
⑻ 前各号に附帯又は関連する事業
⑼ その他この法人の目的を達成するために必要な事業
・当法人のこれまで行ってきた学びの機会のうち、より専門性が高いこれらの学びを同一般社団法人に事業移管することで、継続的及び発展的に学びの機会を提供できると考えられる。
・高校生層以上の若者を対象とした奈良県「若者の居場所」に登録されている。その目的はひきこもりの青年が家庭以外で過ごす居場所づくりであるであるが、「こども食堂」という名称だと貧困なこどもに食事を提供する場所としての印象が強く、参加しづらく、本来支援を必要としている青年層の対象へ支援が届いていないことから、このような課題の解決に繋がる。
・一般社団法人とすることで、法律上の種々の制限(物販等の営利事業の禁止等)や官庁への報告義務などがあるNPO法人に比べ、制約が少なく、機動的な運営、経営ができ種々のお困りごとに迅速に対応でき、かつ先駆的な取組みを行うことができる。
・本年3月末で、過去5年間に渡って受けてきた独立行政法人福祉医療機構(WAM)よりの助成が終了し、来年度よりは、行政よりの業務委託などの自主財源化や企業・個人からの寄付を前提とした財源基盤の強化が求められている。継続的な支援を行う上で、経営基盤の強化は大きな課題であり、一部事業を一般社団法人化することでより、低額の参加費の徴収や行政よりの別枠での業務委託を通じて、安定的な財源の確保が可能となると期待される。
以上